厳しい糖質制限がかえって危険な理由

厳しい糖質制限がかえって危険な理由について

糖尿病について

生活改善の指導を行う、あきはばら駅クリニック院長の大和田医師は言う。

「リモートワークでいつも食品がそばにあって、運動量が減るとメタボリックが悪化します」 「糖尿病が恐ろしいのは自覚症状がないこと。気づいたときには失明したり、透析が必要になってしまいます」

糖尿病は、単純に”尿に糖分が出る”病気というイメージがあるが、正確は”血液中のブドウ糖(糖分)が増えすぎた”病気。

食事に含まれる糖質が分解されると血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上昇する。

ブドウ糖が多くなると、脾臓からインスリンというホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへ取り込み、血糖値を下げる。

しかし、何らかの原因でインスリンが十分に分泌されなくなったり、肝臓や筋肉でのインスリンの作用が低下すると、高血糖が続いてしまう。

その状態を「糖尿病」といい、「1型糖尿病」「2型糖尿病」「妊娠糖尿病」「その他」の4つに分けられる。

1型糖尿病は主に小児期に発症し、インスリンが分泌されなくなる。 家族に糖尿病の人がいたり、肥満で生活習慣の乱れがある中高年は2型糖尿病を発症しやすい。

日本人の糖尿病患者の90%以上が該当するのは2型糖尿病です。

糖尿病治療のエキスパート、神保町代謝クリニック院長の益子医師は言う。

健康な人のインスリンがブドウ糖を運ぶ力を100%とすると、糖尿病発症時には45%程度」と説明する。

糖尿病域になってしまうと、生涯血糖値コントロールが必要になります。ですが、境界域や正常高値群であれば、生活習慣の改善で正常域に戻すことが十分可能ですし、何より社会的な扱いとしても、糖尿病かそうでないかは、家のローンを組む時や生命保険の更新に影響してきます。」

対策としては運動と食事です。運動は体重を減らし、血糖値を下げ、傷んだ体の組織の再生を促す。

「国内で糖尿病患者に対して1年かけて運動療法の効果を調べた結果があります。運動療法を併用しない治療では498人中465人が1年後も服薬が必要でした。翌年、別の498人を対象に年齢や体力に合わせた運動療法を導入すると、薬の必要な人が194人に減少したのです。498人中304人は、運動と食事療法で糖尿病が改善したとのこと。これは薬2~3種類に匹敵する効果です」と益子医師は言う。

適度な強さの有酸素運動を食後、あまり時間をおかずに行うのが効果的という。「1回30分~60分、週3時間、週4日以上」の頻度を患者に進めている。

有酸素運動に、体操や腕立て伏せなどの「筋力を強化するトレーニング」を加えるとなお良い。筋肉が多いと、筋肉の中にブドウ糖を取り組むことができるので、血糖値が下がりやすい体質になるという。

朝食を抜かずに早朝に食べること、遅すぎる夕食を避けることも血糖値を安定させるコツ。

朝食を食べないと内臓が完全に目覚めません。そのうえ血糖値はホルモン分泌の関係で、何も食べなくても明け方から午後1時まで上がり続けます。そのため朝食を遅くすれば、同じ食事内容でも食後の血糖値はずっと高くなります。また夜は代謝が落ちているため、血糖値が下がりにくいのです。」益子医師は言う。

食事で大切なことは野菜を3食とも十分取ることと、ほどほどの主食。一時期ブームになった「糖質制限」を益子医師は勧めないという。

「厳しい糖質制限はがんや脳心血管疾患の発症が増え、死亡リスクがたかまるという研究が数多くあります。専門家が管理しないと、栄養素が偏ってしまいがちなんです。意識してご飯を少盛りにすれば十分でしょう。」

あきはばら駅クリニック院長の大和田医師は白米のような”白い炭水化物”でなく、玄米や全粒粉、ライ麦のような精製されていない”茶色い炭水化物”を進める。 「豊富に含まれる食物繊維は、血糖値の上昇を抑え、腸内細菌を養い、腸内環境を良好に保ちます。」

大量の飲酒にも気をつけたい。

目安は1日に500ml、缶ビール3本以上(アルコール度数5%)の飲酒を続けると、膵臓が疲弊し、インスリンの分泌が低下する。

低血糖

運動や食事対策をしても良好な血糖値にならない場合は服薬することになる。

糖尿病で心配なのは、副作用として血糖値の下がりすぎです。低血糖は血糖の乱れの原因にもなるし、意識障害を起こすこともある。繰り返すと認知能力の低下にもつながってしまう。

低血糖の症状は日中と夜間で異なる。日中なら空腹感、震え、気分の悪さ、冷や汗などがよくあげられるが、夜なら「怖い夢を見て汗でたくさん濡れる」というのも低血糖の可能性がある。起き抜けに頭痛や寒気、体温低下があった場合も要注意だ。低血糖と思われる症状が表れたらすぐに糖分を取って主治医に相談を。

最後にインスリン分泌促進薬は体重を増やしやすい。服薬はインスリンの働きを高め、血中に残っているブドウ糖を薬の力で体内に取り込み、体重を増加させる。

運動量を増やしたり、食事摂取量やその内容に気をつけない限り、薬の量は増え続け、症状も悪化してしまう。 益子医師や大和田医師が生活改善に力を入れるのは、そういうことから。

「雑誌、プレジデントより引用」

  

ブログ作者の感想

糖尿病からの合併症、怖いですね。つい先日も友達の父親が糖尿病から人工透析をすることになってしまったとの話を聞いた。昔から運動不足で肥満気味、アンバランスな食事だったようです。人工透析になると週に3,4回も病院に行き、数時間拘束されるようです。裏話、病院にとっては定期的に来てくれポイントも高い「いい患者さん」のようで、来てもらいたく送迎などのサービスでアピールするようですが、、、。でも旅行など行けなくなり、家族にとっては金銭面など負担がかかりますよね。予防には厳しい糖質制限でなく野菜を取り入れた食事、運動が必要なので、自己管理をしていきたいと思いました。自分にも家族のためにも糖尿病にはなりたくないですね。

食事・運動で糖尿病対策
  • 水溶性食物繊維・イヌリン。食後の血糖値上昇をゆるやかに。
  • 糖尿病予防に管理栄養士監修の食事!Dr.つるかめキッチン
  • ジャンプ運動は意外にも大きな筋力UP。お家で簡単エクササイズ
  • 歩くのが楽しくなる、スマートウォッチで賢く健康管理。
  • 糖尿病についてのその他の記事は下記ご参考までにどうぞ。

    自律神経を刺激して糖尿病を治療

    自律神経に光を当てると、血糖値の低下をうながす細胞が増加した

    糖尿病は、血糖値を下げるインスリンとよばれるホルモンが減少し、高血糖が慢性的につづく病気です。その主な原因は、すい臓でインスリンを分泌する「β細胞」が減少することだ。減少したβ細胞を増やす方法はいまのところ存在しない。糖尿病治療ため、β細胞を増やす方法が求められていた。

    東北大学の今井准教授らの研究チームは、マウスの自律神経を刺激してβ細胞を増やすという方法を世界で初めて開発した。

    研究チームは自律神経の一種である「迷走神経」から放出される信号が、β細胞に作用することを発見していた。そこで、光に反応するタンパク質を使って神経細胞をあやつる「光遺伝学」の手法を用いて、脳と脾臓をつなぐ「脾臓迷走神経」を刺激した。

    研究チームはマウスの遺伝子を改変し、青い光が当たると脾臓迷走神経が活性化するようにした。その状態でマウスの脾臓に青い光を当てると、β細胞のはたらきが改善し、インスリンの分泌量が増加した。

    そして神経を2週間刺激しつづけることで、β細胞の数を2倍以上に増やすことに成功した。

    迷走神経を刺激する方法は、うつ病などの治療にすでに用いられている。今回の成果によって、この方法が糖尿病の予防、治療への応用が進むかもしれない。

    雑誌、ニュートンより引用