名医も実践中の「歯、眼にいい習慣」

歯にいい習慣 10

田北行宏医師　ホテルニューオータニ内にある田北デンタルクリニック院長。歯科医師。

1	お菓子を減らす	虫歯の原因は、口の中の細菌が糖分を分解して酸を作ること。糖分が多いお菓子はもちろん、甘い缶コーヒーや炭酸飲料も控えめに。健康によいイメージのある「乳酸菌入り」も酸が含まれるので注意が必要。
2	歯ブラシを持ち歩く	口の中の細菌は食後に急増する。食事をしたら、ささっとでもいいので歯ブラシで汚れを落とす習慣をつけるといい。歯の表面がきれいになると汚れもつきにくくなる。洗面台がない場所ではペットボトルをうまく活用しよう。
3	よく嚙んで唾液を出す。	唾液には、歯の石灰化を促すカルシウムと、抗菌作用がある中和抗体が含まれる。噛む回数を増やして唾液の量が増えると、口内細菌が減り口臭予防にもなる。マスク生活は口内を乾燥させてしまうため注意したい。
4	歯磨き剤はフッ素入りを使う	フッ素は歯の表面のエナメル質を硬く丈夫にする。1日2回フッ素入りの歯磨き剤を使用し、口の中に常に微量が残る状態にするのがベスト。虫歯予防に使われているフッ素の量は少ないため、健康や安全上に特に問題はない。
5	キシリトールガムを噛む	キシリトールは、虫歯の主な原因菌であるミュータンス菌の増殖を防ぐ。歯垢を減らすので歯周病予防にも効果があり、ガムを嚙むことで唾液の分泌も促せる。含有量50%以上のものを毎食後1日3回、5分間噛むといい。
6	定期的にホワイトニング	歯が白くなると笑顔が奇麗で若々しい印象になる。自分の歯に興味を持つことで、きれいに保つモチベーションにもつながる。昔は薬でしみることも多かったが、最近ではマイルドな薬や施術も増え、利用しやすくなっている。
7	歯列矯正をする	歯並びをきれいにすることで、ブラッシングがしやすく、口内に汚れが溜まりにくくなる。顔が左右対称にになり印象がアップするメリットも。自宅でできる矯正措置も開発されているため、ライフスタイルに合わせて施術できる。
8	自分の歯より白めの差し歯を入れる	差し歯を作る時、周りの歯に合わせる歯科医院もあるが、あえて一段白い歯を入れる。そうすると周りの歯も頑張って白くしたいときれいな歯を保つモチベーションにつながる。
9	タバコは控える	禁煙によって発生する一酸化炭素は、歯肉を傷める原因になる。歯の骨は歯肉から血液が供給され、健康を保っているため、歯にも影響が及ぶ。また、タバコのヤニは、歯の汚れや口臭の原因にもなる。
10	歯科医・歯科衛生士と仲良くなる。	多くの日本人が歯科恐怖症で、歯に対しての興味が薄い。痛みが出てから歯医者に行くのではなく、定期的に自費のクリーニングを受け、歯科医院と信頼関係を築くのが大切。そうすればデンタルIQは上がり、歯の健康を末永く保つことができる。

歯は外から見える臓器です。口腔内を見るだけで健康状態は一目瞭然。虫歯や歯周病を放置しておけば、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞など様々な病気を引き起こします。

口の中をきれいにしただけで風邪すらひかなくなったという人は多いのです。

病気は早期発見、早期治療が基本ですが、私は患者さんの虫歯をすぐには治しません。その人の生活習慣が改善されなければ、治療をしてもすぐまた虫歯ができてしまう。

予防医療に重きを置くことが最も大切です。そこで重要になるのが、デンタルIQをあげること。歯に対する意識を高め、虫歯を作らない生活をしましょう。予防の9割は知識から。

まずは上記10項目を生活に取り入れてみてください。自分の歯に愛着を持ち、病気のリスクを減らしましょう。それが健康寿命を延ばすことにつながります。

眼にいい習慣 10

平松　類　眼科医。二本松眼科病院副院長。

1	眼を温める	濡れタオルを電子レンジで温めて、眼の上に5分間置く。眼を温めることで、目の縁から分泌される油分が溶けて、ドライアイの予防になる。仕事の合間なら、両手をこすって温めて、眼を覆うだけでもOK。
2	散歩をして遠くを見る	人間は狩や採集などで遠くを見るのが自然であり、手元を見ることは眼の筋肉を酷使することにつながる。室内の手元の作業から離れ、外に出て遠くを見ると、近視の抑制になる。なかでも運動効果のある散歩はおすすめだ。
3	まばたきを意識的にする	人間はぼーとしていると1分間に大体30回ほどまばたきをする。本を読んでいるときは15回、パソコンやスマホを見る時は6から7回にとどまる。まばたきには眼を休める意味もあるので意識的に実践するといい。
4	ほうれん草を食べる	ほうれん草に含まれる「ルテイン」は、眼に集積しやすい成分。光のダメージから守る天然のサングラスとも言われ、白内障や老眼予防にも効果的だ。ルテインは脂溶性のため、炒め物やナムルなど、脂を使う調理法が消化吸収されやすい。
5	目に合ったメガネを作る	手元の作業用、運転用など、目的に合ったメガネを作ることが理想だ。メガネ店では遠くが見やすいものを薦められるが、手元の作業が多い場合、眼を疲れさせる原因になる。仕事用のパソコンに合わせたいなど主な目的を店に伝えよう。
6	有酸素運動を週3回30分ずつ行う	眼の血管は非常に細く、血流の影響を受けやすい。眼の健康のためには、体を動かして血の巡りをよくすることが重要。ただし筋トレなどの無酸素運動や、逆立ちなどの眼に圧力がかかる運動はＮＧ。ウオーキングや水泳などの有酸素運動がベストだ。
7	お札の透かしを見る。	視力回復法として著名な「ガボール・アイ」。お札の透かしでも同様の効果が得られる。1000円札を目の前にかざすと透かしの中に野口英世の肖像が見えるが、そこから徐々にお札を下げていき、透かしの顔が判別できるかどうかの状態でしっかりと見る。
8	大きいモニターのデジタルデバイスを選ぶ	眼を疲れさせる最も大きな原因が「光」。光を見ると人間は興奮し、リラックスから遠ざかる。スマホなどは距離が離れるほど眼へのダメージは少なくなる。モニターは大きいものを選び、離しても見やすいものを選ぼう。
9	定期的に左右の眼の見え方をチェックする	眼の病気は視力の低下だけでなく、視界の欠けや歪みからも発見できる。定期的にアムスラーチャートという格子模様を片目ずつ見て、問題がないか確認しよう。
10	部屋の湿度を一定に保つ	眼は乾燥させないことが大切。湿度を奪いがちなエアコンよりも、オイルヒーターや石油ストーブのほうが保湿できる。加湿器はもちろん、部屋に濡れタオルを干したり、コップ1杯の水を置くなどして、部屋をかんそうさせないようにしたい。

日本のオフィスワーカーの6割以上がドライアイと言われています。水分を補えばドライアイは解消されると思う人は多いのですが、油も大切です。

油がふたをして水分の蒸発を防ぎ、乾燥から守ってくれているのです。

油は眼の縁から分泌されます。冷え症だったり血流が悪い人、乾燥した環境にある人は油が少なくなり、ドライアイになりやすいのです。

私たちは「３つのコン」と呼んでいますが、エアコン・パソコン・コンタクト、この３つを使う人は特に注意しましょう。

さて眼にいい食べ物といえばブルーベリーを思い浮かべます。抗酸化物質であるアントシアニンが健康増進に役立つのは嘘ではありません。とはいえ効果は限定的。

ブルーベリーよりも上記のホウレンソウのほうが摂取効果がより良好です。

また、日本人が善かれと思ってやっている逆効果の習慣があります。たとえば、眼を洗う行為。

ゴミと共に必要な成分も流してしまいます。カップで目を洗浄する製品もありますが、カップがきれいだとは限らない。

職場が埃っぽかったり、花粉がひどいなどの理由で使うのは構いませんが、ノーマルな環境下で、コンタクトを外した後の習慣とするのは推奨されません。

雑誌、プレジデントより引用