ローヤルゼリーの最新機能性研究について

国内外で機能性研究が行われ、これまでに抗メタボ機能や持久力向上など、様々な機能性を持つ可能性が確認されている。 最新の研究では、うつ症状改善機能と骨粗鬆症改善機能に関する作用機序が新たに見出されている。

うつ症状改善機能

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の神戸講師が動物試験で確認した。

うつ病患者の脳内では、エネルギー産生にかかわるミトコンドリアが正常に機能せず、ミトコンドリア活性に重要なサーチュイン1たんぱく質の発現量や活性が低下しているとの報告がある。

そこで神戸講師はうつ病モデルマウスを対象に実施した。ローヤルゼリーを体重1キログラムあたり1グラムの量で12日間摂取させて、脳内のサーチュイン1たんぱく質の発現量を測定した。

その結果、ローヤルゼリー非摂取群と比べ、脳の偏桃体でサーチュイン1たんぱく質に加え、ミトコンドリアのエネルギー産生に関わる酵素「ATP5A」の発現量がそれぞれ有意に増加したことを確認した。

実際、ローヤルゼリーを摂取したうつ病モデルマウスは、非摂取群と比べ、摂取10日目から12日目にかけて、無気力状態の時間が優位に短縮したことが確認されている。

骨粗鬆症改善機能

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究所の中島教授や森川健康堂らの研究グループが確認。

ローヤルゼリーの指標成分である脂肪酸「10-ヒドロキシン-2-デセン酸」が骨破壊を抑制する成分であることを発見した。

細胞試験では「10-ヒドロキシン-2-デセン酸」はその受容体であるFFAR4を活性化することを通じ。NF-KBシグナルを抑制し、破骨細胞の分化を抑えたという。

血管内皮機能の改善効果

熊本大学の藤木助教、辻田賢一教授らの研究グループは、（株）杉養蜂園との共同研究にて、ローヤルゼリー摂取による血管機能改善効果を明らかとした。

健常人１００人を対象とした二重盲検ランダム化比較試験において、4週間ローヤルゼリーとプラセボを摂取してもらい、試験前・試験後に末梢血管内皮機能の指標となるRHI値を測定した。その結果、ローヤルゼリー摂取群はRHI変化率の有意な上昇が見られた。

動脈硬化の早期指標出る血管内皮機能を改善させることが明らかとなった。 また、肝機能の指標であるALT、γGTPにも改善が見られた。

この研究成果は論文化され、昨年9月に発行された日本動脈硬化学会学術誌に掲載された。

なお、今回の研究では、ローヤルゼリーの特定成分が有効に働いたというような作用機序は明らかにされてない。

藤木氏は「デセン酸、アミノ酸等のローヤルゼリー成分が複合的に働いている可能性がある。過去には、（一酸化窒素の）類似物質が血管を拡張させたり、インスリン抵抗性を改善する効果が報告されており、今後の研究課題としたい」としている。

また「今回は健常者を対象としたが、脂肪肝やメタボ患者が（重篤な）疾患へ発展することを予防できる可能性もあり、病者を対象とした研究も進めていきたい」と話した。

健康産業新聞より引用

アナフィラキシー抑制か

新型コロナの影響で健康意識が高まる中、免疫を高めるなどとして需要が増加したローヤルゼリー。最新の研究では、ローヤルゼリーが免疫を調整して、アレルギー反応のひとつであるアナフィラキシーを抑制する可能性が見出されている。

研究を行ったのは、医療創生大学薬学部の佐藤教授らのグループ。

佐藤教授らはアナフィラキシー発症の重要なメディエーター（シグナル伝達物質）として、ヒスタミンや血小板活性化因子（ＰＡＦ）を挙げ、これらの活性を抑えることでアナフィラキシーを抑制及び改善できると推察。

ローヤルゼリー特有成分の10-ヒドロキシン-2-デセン酸（10-HPA）と、タンパク質のロイヤリシン（RL）に着目して、アナフィラキシーに対する効果を調べた。

試験では、ヒスタミンとPAFに与える影響を、ラットを用いて検証した。

ラットの足の裏の皮下に10-HDAあるいはRL由来ペプチドを塗布した後、ヒスタミンまたはPAFを順次塗布し、足浮腫量を測定した。

その結果、10-HDAはヒスタミンとPAFの活性を有意に抑制し、足浮腫量が抑えられた。

PL由来ペプチドは、11アミノ酸残基からなる種類がPAF活性を顕著に抑えた一方、12アミノ酸残基からなる種類は、ほとんど活性を抑えなかった。

また、アナフィラキシーモデルマウスを用いて、アナフィラキシーによる体温低下への影響を調べたところ、10-HDAは経口投与により濃度依存的に体温低下を抑制した。

さらに、10-HDAと11アミノ酸残基からなるRL由来ペプチドは、それぞれを注射で単独投与、または併用投与しても体温低下を抑えられた。

この結果を受け佐藤准教授らは、今後、抗アナフィラキシー機能のメカニズムを解明していく計画だ。

健康産業流通新聞より引用