食品添加物の正しい知識
食品添加物とは保存料、甘味料、着色料、香料など食品の加工や保存などの目的で使用されるものをいいます。
味や香りをよくする、見た目をよくする、長期保存を可能にするなど効果が得られます。
使用可能な食品添加物は「食品衛生法」で決められており、国が認めたもののみが使用されます。
2021年1月時点で、その数は1500品目以上に上ります。
一日摂取許容量で安全が担保されている
食品添加物というと、発がん性などのリスクがしばしば取りざたされています。食品添加物は安全なのでしょうか。
化学物質を長期間にわたりくりかえし摂取することで生じる毒性のことを「慢性毒性」といいます。
日本では食品添加物の安全性は、内閣府に設置された「食品安全委員会」が次のような手順で評価しています。
まず、マウスなどを用いた複数の動物試験によって、有害性が認められない最大投与量である「無毒性量(NOAEL)」を決めます。
そして、無毒性量に「安全係数(SF)」の逆数をかけて、一生涯毎日摂取しても悪影響がないと考えられる量「1日摂取許容量(ADI)」を導出します。
安全係数とは、動物データから、ヒトへの影響を安全側に評価するための値です。
通常、種差(動物とヒトとのちがい)を考慮した10と、個体差(毒物に対する感受性が高い人と低い人のちがい)を考慮10をかけた100が使われます。
つまり、動物試験で得られた無毒性量のさらに100分の1の量をADIと設定しているのです。
実際の食品における使用量の基準は、ADIをもとにさらに少なく設定されています。
たとえば、人工甘味料としてよく使用されるアスパルテームは、1日摂取許容量(ADI)が体重1キログラムあたり40ミリグラムです。
これを体重55キログラムの人に換算すると、2.2グラムとなります。
この量は500ミリリットルのコーラのペットボトルに換算すると、7本以上に相当するといいます。
これだけの量のコーラを一生毎日飲み続けることは現実的ではありません。
それだけADIは、安全性をかんがみて決められているのです。
「ゼロリスク信仰」には注意が必要
砂糖を制限する必要のある糖尿病の人には人工甘味料、減塩が求められる高血圧の人にはうま味調味料、嚥下や咀嚼が困難な高齢者のための介護食品には増粘剤などの
食品添加物が有効です。
保存料は災害用の備蓄食品に必要であり、フードロスの低減にもつながります。
一方で、保存料が不安だからといって、量を減らし過ぎると、かえって食中毒のリスクが高まるといったこともおこりえます。
単純なゼロリスク信仰には注意したほうがよいでしょう。
雑誌、ニュートンより引用