血中鉄代謝マーカー濃度とがん罹患リスクとの関連について

国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクトより引用

体内の貯蔵鉄が過剰な状態にある人では、肝臓がんに罹患するリスクが高い

今回の研究では、ベースライン調査のアンケートにご回答下さり、健診などの機会に血液をご提供下さった40~69歳の男女約3万4千人の方々を、平成21年(2009年)まで追跡した結果に基づいて、鉄代謝マーカーであるフェリチンなどの濃度とがん罹患リスクの関連を調べました。

鉄は人体の健康維持に必要な必須微量元素の一つです。一方、体内に過剰な鉄が存在することは、活性酸素の増加を介して発がんにつながることと関連する可能性が指摘されています。

体内の鉄の状態を知るためには、複数の検査値が有用です。今回の研究では、血漿鉄、フェリチン、ヘプシジンを鉄代謝マーカーとして調べました。

今回の研究から、体内の貯蔵鉄が過剰な状態にある人では、肝臓がんに罹患するリスクが高いことが分かりました。さらに本研究では、ヘプシジンが低いことが、肝臓がん罹患リスク上昇と関連することを示しました。

本研究は、一般人口集団における鉄過剰の状態と肝臓がん罹患リスク上昇を日本人において初めて示したものです。さらにヘプシジンの低値が肝臓がん罹患リスク上昇に寄与することを示した初めての報告です。


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