お蕎麦

吸収を穏やかにする食物繊維が多い 

大晦日の夜に食べる「年越しそば」。その由来は、そばの麺が細く長いことから長寿を願ったものである説や、そばが切れやすいことから今年の厄災を切り捨てるためなどさまざま。いずれにしても新年への希望が込められている。

そして科学的にもそばは健康効果が高い食材だが、意外にも食べ方によっては体への悪影響があるという。

蕎麦の良いところ

日本ポリフェノール学会理事長の板倉医師は「そばは肥満防止になる」と説明する。

「白米、うどん、そば、食パンの中でGI値(食後の血糖値の上昇を示す指標)が低く、またGL値(一食分の量を踏まえた炭水化物の量)も低いので食後の血糖値上昇を抑えられます。血糖が急上昇すると、脂肪に変わって蓄えられ太りますから、メタボの人にそばは好ましい食品といえますね」 

そばには糖の吸収を穏やかにする食物繊維が多く含まれる。さらに食物繊維と似た働きを持つたんぱく質「レジスタントプロテイン」の存在も。「これが腸内環境を整えてくれます」と話すのは健康検定協会理事長で管理栄養士の望月氏。「不要な脂肪分やコレステロールの排除を助けてくれる働きが期待できます」

そばに含まれるルチンは抗酸化作用があり、毛細血管を強くする働きがある。白いパンに使用される小麦粉と違って胚芽部が挽きこまれているため、ビタミン含有量も多い。だがそばを茹でると、多くの水溶性の栄養素が流れ出てしまう。「ですから蕎麦湯をぜひ飲んでください」と望月氏はいう。

麵の選び方

麺の選び方も重要。麺の外側に記載されている原材料名は、含有量の多いものから記載されている。つまり「小麦粉」が先に記載されているものは、そば粉より小麦粉の含有量が多いそばということになる。そばの効能を求めるなら「そば粉」が先頭に書かれているものを。

毎日食べるのは避けた方がいい

いくらそばに健康効果があるといっても、実は「毎日食べる」のは厳禁。板倉医師が実際にあった例を紹介してくれた。

「65歳の独身男性で、定年後好きなものを食べ、のんびりと生活していました。しかしやがて強い倦怠感、筋肉低下、ふらつきなどが起きて、外来を受診されました。そのとき全身がむくんで腹水もたまっていたので肝硬変を疑いましたが、なんと低栄養でした。食生活を聞けば、毎食そばしか食べていないとのことです。肉や魚、乳製品などのたんぱく質を合わせて摂取するよう勧めたところ、アルブミン値(血清中のたんぱく質の濃度)が上昇し、症状は改善されました」

日本臨床栄養協会評議会で管理栄養士の遠藤氏も「立ち食いそばを食べ続ける危険性」を指摘する。「体にいいからと毎朝そばを食べている男性の方がよくいるのですが、そういう方は血圧が高くなりやすいのです。1日あたりの塩分摂取量は男性で7.5グラム未満、女性で6.5グラム未満に対し、かけそばには約5グラムもの塩分が含まれています。毎日食べていたのを週1~2回に減らしたり、つゆを半分残したりすることで、血圧が下がることもあります。」

食べ方の工夫

遠藤氏は「けんちん蕎麦」を提案する。「大根、ニンジン、ねぎなどの野菜を一緒にゆでると野菜のうまみが出て、つゆも薄味でおいしく食べれます。鶏肉や山菜を入れたり、卵を落として月見そばにすればたんぱく質も取れて栄養バランスが整います」

年越しそばに定番の天ぷらはどうだろうか。望月氏は言う「そばと油を一緒に取った方が、血糖値の上昇を抑えられると考えられます。例えばサラダで野菜のみのドレッシングをかけて食べるのを比較すると、オイル入りドレッシングをかけた方が腹持ちがよく、その次の食事における血糖値上昇を防げるとされています。ただし油の取りすぎは禁物です」

お酒の締めで食べるのはNG

遠藤氏は言う。「何となく最後に麺類を食べるとすっきりした感覚になるのかもしれませんが・・・お酒には糖分が含まれ、おつまみには揚げ物類が多いですし、最後に炭水化物主体の麺類まで摂取すれば、糖質の取りすぎで高血糖を招いてしまいます。また締めということで夜遅い時間の可能性が高く、中性脂肪や体重の増加につながり、やがては脂肪肝に陥るなど健康への悪影響も。年末年始ぐらいはいいと思いますが、普段はなるべく控えた方がいいでしょう」

雑誌、プレジデントより引用

ブログ作者の感想

おいしいお蕎麦の栄養について勉強になりました。また麺の選び方についても今度スーパーでパッケージを確認したいと思います。塩分が意外に多いのにはびっくりなので、週1~2回程度がいいですね。また、調子に乗ってお酒の締めで食べるのは控えようと思います。のどこしよくさっと食べれるけど、それは食べすぎのようですね。

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