うつ病、その予防には簡単な運動
アメリカ、マサチューセッツ総合病院およびハーバード大学公衆衛生大学院の研究グループによる2019年の研究では、うつ病の遺伝的なリスクの高い人であっても、1週間に4時間の運動を行うことで、うつ病の発症リスクが１７％減少したと報告されています。
また、この研究では、ヨガやストレッチなどの弱い運動でも、エアロビクスやダンスなどの強い運動であっても、うつ病の予防に効果があることが示されました。
さらに運動は、うつ病の治療にも効果的であるという報告もされています。とくに海外では1週間に3回程度、1日３０分～1時間、ウオーキングやジョギング、エアロビクスなどの運動が、治療の補助として行われている場合もあります。
尚、予防でも治療でも決して無理をせず、できる範囲で適度な運動をすることが大切です。
雑誌プレジデント、「うつ病の原因と予防」より引用
考え方のくせを変える「認知行動療法」がうつ病の治療に効果的
うつ病の原因となる、よくある思考のくせ
・べき思考
「～すべきだ」「～すべきでない」などと決めつけ、固定された理想を自分や他人に強く要求してしまいます。
・破局視（先読み）
「きっと今回もダメにちがいない」などと、ほかの様々な可能性を考慮せず、未来に悲観的な予想を立ててしまいます。
・読心術（人の心の深読み）
「あの人は自分のことを嫌っている」などと、他人の考えていることを推測して、それが正しいと思い込んでしまう。
・自己批判
「こうなったのは自分のせいだ」などと、何かよくないことがおきたときに、自分の責任を過度に見積もってしまう。
・思い込み、レッテル貼り
「私は本当にダメな人間だ」などと、ほかのさまざまな事実を考慮せず、不十分な根拠から否定的な結論を導いてしまう。
・全か無か思考（白黒思考）
「１つまちがえたらすべておしまいだ」などと物事を１００か０かのどちらか両極端にとらえてしまう。
抗うつ薬などを使った「薬物療法」がうつ病の治療の第一の選択肢であることは事実です。
しかし、近年では、医師やカウンセラーと共に「精神の扱い方」を学んでいく精神療法の一つである「認知行動療法」が行われるケースも増えています。
認知行動療法は、「どう考えるか（認知）によって感情が生み出される」と考え、それらを見出すことで感情を制御する方法です。
うつ病の認知行動療法では、自分の考え方の「悪いくせ」を理解することからはじめます。
たとえば仕事でミスをして注意を受けた時、あなたはどのように考えるでしょうか？
うつ病になりやすい人の思考法の一つに、物事を極端に考えてしまう「白黒思考」があります。
全か無か思考をしがちな人は、小さなミスでも深刻にとらえ「すべてが台無しになってしまった」などと考えてしまいます。
すると、はげしく気分が落ち込み、うつ病の症状があらわれてしまうことがあります。
全か無か思考をしがちな人は、「６０％は失敗だったが、４０％は成功だった」などと、より柔軟な考え方ができるように、認知行動療法を使ってトレーニングが行われます。
うつ病の治療に認知行動療法を単体で用いることは、薬物療法単体での治療にくらべて、同等以上の効果があることが、研究によってわかっています。 （二つの治療法を併用する場合は、さらに効果が高くなります）
また、認知行動療法を行えば、根本的な考え方を変えることで、治療後に同様の状況におちいったときでも対処が可能であり、再発の可能性は低くなると考えられています。
さらに、薬物療法は半年以上つづけるのが一般的ですが、認知行動療法は３～４か月ので主なプログラムが終了します。
雑誌プレジデント、「うつ病の原因と予防」より引用
「気分の落ち込みが2週間以上つづいているかどうか」がうつ病の診断基準
この2週間、次のような問題にどのくらい頻繁に悩まされていますか？
DSM-5をもとに作成されたうつ病の診断補助ツール「PHQ-9」の９つの質問を示します。
ここ2週間で、まったくない場合は０点、数日の場合は１点、半分以上の場合は２点、ほとんどの場合は３点とし、９つの質問に対する合計点数からうつ病症状レベルを評価します。
質問➀物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない。
質問➁気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる。
質問➂寝つきが悪い、途中で目が覚める、または逆に眠りすぎる。
質問➃疲れた感じがする、または気力がない
質問➄あまり食欲がない、または食べ過ぎる。
質問➅自分はダメな人間だ、人生の敗北者だと気を病む、または自分自身あるいは家族に申し訳がないと感じる。
質問➆新聞を読む、またはテレビを見ることなどに集中することが難しい。
質問➇他人が気づくぐらいに動きや話し方が遅くなる。 あるいは反対に、そわそわしたり、落ち着かず、普段よりも動き回ることがある。
質問➈死んだほうがましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがる。
合計点 症状レベル ０～４点 なし ５～９点 軽度 １０～１４点 中程度 １５～１９点 中程度～重度 ２０～２７点 重度 不安がある場合は必ず医師の診断を受けよう
うつ病の診断補助ツールは、いくつか存在します。中でも「PHQ-9（Patient Health Questionnaire)日本語版(2018)」は、信ぴょう性が高く評価されており、医療現場でも広く使われています。
これは９つの質問それぞれに対してこの2週間でどの程度当てはまっているのかを答えてもらい、その合計点からうつ病の症状レベルを評価するものです。
うつ病かもしれないと思う人は、一度自分でチェックしてみるのもよいでしょう。 ただし、PHQ-9はうつ病どうかを確実に診断できるものではありません。
実際の診断には、医師の総合的な判断が必須であるため、もし不安を抱えている場合には、必ず医師の診断を受けましょう。
PHQ-9は、アメリカ精神医学会が2013年に発表した精神疾患全般の診断基準「DSM-5」をもとに作成されました。
DSM-5によると、うつ病の診断基準は「抑うつ状態や興味の喪失が２週間以上つづいていること」だとされています。
なお、「抑うつ状態」とは、気分の落ち込みなどの症状がとても強い状態のことです。
雑誌プレジデント、「うつ病の原因と予防」より引用
ブログ作者の感想
まずは自分の今の精神状態を知ることが第一歩だと知りました。定期的に上記のような自己診断をやってみたらいいかもしれません。そして軽い運動から始めて継続すること、考え方を柔軟にすることがうつ病の発症リスクを減らす効果があるのですね。まずは、軽いウオーキングなどから始めてみるのがいいかもしれませんね。
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商品レビューから一部引用
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