長さを測定すると体の状況がわかる
年齢が同じでも、病気一つせず、肌がつやつやした若々しい60歳がいる一方で、すぐに風邪を引き、慢性疾患にも悩み続け、すっかり老け込んだ60歳もいる。いわゆる健康寿命を保つためには「細胞の健康」が欠かせないことをご存じだろうか。
世界20か国で刊行されたベストセラー「細胞から若返る!テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム」の中で、著者のエリザベス・ブラックバーン博士が「細胞の中にあるテロメアが老化スピードを決定する」と記述している。
ブラックバーン博士は2009年、テロメアの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した。テロメアとは細胞の奥深くにある染色体の先端部分を指す。靴紐の両端についているプラスチックのキャップが、靴紐がバラバラになるのを防ぐように、テロメアは染色体を保護する役目があるという。
人の体は皮膚や髪の毛から肺や腸、肝臓の細胞、心血管系の内側を覆うところまで、あらゆる場所で細胞が分裂し再生することで健康を保っている。そして細胞が分裂するたびに、テロメアは短くなっていく。
テロメアが極端に短くなると、テロメアは染色体を守ることができず、「細胞分裂を停止せよ」というサインを出す。そのような細胞は「老化した状態」であり、数が増えるほど体の組織も老化に傾きやすくなる。
ブラックバーン博士と公私にわたり30年以上の付き合いがあり、同書の邦訳版を監修した大阪大学大学院生命機能研究科の平岡教授は「テロメアの長さを測ることで今の体の状況を知ることができる」と解説する。
「誤解してほしくないのは、テロメアを伸ばせば健康になれるわけではないのです。そういった主張のサプリメントはまず効きませんし、もし効いたとしたら危険です。がん化した細胞が無制限に分裂する可能性があるのでしょう。生活習慣を正して調子が良いと感じると、体は健康となり、体内でテロメアが伸び始めるはずです。」
つまり健康を気遣ううえでは血圧や血糖、コレステロール値、体重管理、栄養状態など、さまざまなポイントがあるが、テロメアもまた全身の健康状態を表す指標の一つということ。
老化のスピードを遅くし細胞を若返らせる方法
前述したブラックバーン博士の著書にも、生活習慣次第でテロメアを保持したり、伸ばしたりすることができるとある。テロメアの長短に関係するのは、「食事」「睡眠」「運動」「心理的ストレス」
同書には「テロメア健康度」の自己評価テストが掲載され、それぞれの項目をチェックできる。食事についてテロメアの長短に相関がみられるものは次の通り。
長いテロメアに相関性あり | 繊維質(全粒穀物)、野菜、果物、海藻、マメ科植物、オメガ3脂肪を含む魚、植物性抗酸化物質(豆、ナッツ、緑茶など)、コーヒー |
短いテロメアに相関性あり | 牛肉、豚肉、加工肉、精白パン、甘い飲み物、甘いソーダ、飽和脂肪酸、アルコール多飲 |
睡眠については、毎日5~6時間しか眠らない高齢者はテロメアが短い傾向にあるが、7時間以上睡眠を取っている高齢者は「中年とほぼ同じかそれ以上の長さ」というデータがある。
また運動も健康によいことは容易に想像がつく。だがそれだけではなく、忙しい人ほど運動は推奨されるものではなく必須だと、ブラックバーン博士らの著書では指摘されている。適度なというのがポイントで疲労がたまりすぎないラインを自身で探したい。
ブラックバーン博士と共同研究者であるエリッサ・エペル博士は「高齢の女性を対象にした研究で、強いストレスを受けた人のテロメアがたった1年でかなり短くなりました。しかし、きちんと食べて運動している人は同等のストレスを受けてもテロメアが短くならなかった」と言っている。
雑誌、プレジデントより引用
ブログ作者の感想
バランスの取れた食事、それに少し「長いテロメアに相関性」がある食材を食事に加えるといいのかもしれませんね。それと、睡眠、適度な運動でストレス解消することも大切ですね。細胞レベルで年をとっても若く見えるように生活習慣を見直すことが大切だとわかりました。
細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム
レビューから一部引用
- 遺伝子の末端にあるというテロメアという組織に着目し、よりより生活習慣を教えてくれる本。睡眠、食事、運動、脱ストレスといった基本的なところが多いがそれが信頼感につながっている印象を受けた。
- テロメアはすごいんだとわかりました。
- 自分の事を言われているように思えてきてあせります。あなたの1日を改造しようというページが私自身、当てはまり過ぎて焦りました。が、テロメアは修復されるとのことでしたので、できることから改善、とても参考になります。