国立病院機構米子医療センター病院長 久留一郎
尿酸値が高い状態が続くと痛風が起こりやすくなる
「痛風」とは、血液中の「尿酸」が増えすぎて結晶となって関節内にたまり、それが何らかの原因で剥がれるときに炎症が生じる病気です。足の親指の付け根や足の甲、足首、手の指などの関節に起こりやすく、激痛を伴います。
尿酸は「プリン体」という物質が分解されるときにできます。通常、余分な尿酸は尿や便に含まれて排泄されるため、体内の尿酸は一定に保たれています。しかし、肥満やプリン体を多く含む食品の取り過ぎなどで尿酸が増え、尿酸値が7.0㎎/dLを超える「高尿酸血症」の状態が続くと、激痛が起こりやすくなります。
痛風になりやすい生活習慣
お菓子や甘い飲み物が好き
果物やジュースなどに多く含まれる果糖は、尿酸値を上げやすい。お菓子などの食べすぎは肥満にもつながる
肥満になりやすい生活をしている
食べすぎなどの肥満を招く生活習慣は、尿酸値を上げる行動そのもの。尿酸が過剰につくられる一方、尿酸を排泄しにくくなる。
家にいることが多い
家で過ごす時間が長いと運動不足から肥満を招きやすい。シニア世代は運動不足から筋力が衰えることで、フレイルも心配される。
食べるのが早い、ついたくさん食べてしまう。
早食いの人は、満腹感を感じる前に食べ物を口に入れてしまうため、摂取エネルギー量が増えて肥満になりやすい
レバーや白子などプリン体の多い食品をよく食べる
レバーなどの内臓類や、肉類、魚類、魚の干し物やビーフジャーキーのような水分が抜けて成分が凝縮された食品などは、プリン体を多く含む。
毎日のようにお酒を飲んでいる
どんな種類のアルコール飲料でも、尿酸の排泄を妨げる作用と、尿酸をつくる作用を体内で生じさせるため、尿酸値が上がる。プリン体の多いビールでなくても、アルコール飲料には要注意。
ストレスを感じることが多い
活動的で負けず嫌いな人や、きっちりとした性格の人はストレスを感じやすいとされ、尿酸値が高い傾向にある。ストレスから早食い、暴飲暴食、ストレス発散のための無酸素運動(筋トレなど)をすると尿酸値が上がる。
眠れない日が多い
不眠、疲れ、ストレスなどは自律神経に影響を与え、尿酸を排泄する腎臓の機能に悪影響。
尿酸値を下げる生活改善
食事の量を少し減らそう
1年間で現在の体重から3%減らすというわずかな減量でも、尿酸値は改善する。たとえば1日3食それぞれを腹8分目にする。よく噛んでゆっくり食べる。
プリン体の多い食品は3日に1回までに
尿酸値を上げないためには、食事から取るプリン体を1日400mg以下に抑えることが勧められている。以下の食べすぎはやめる。食べる場合でも3日に1回までにする。蒸したり、ゆでたり、煮たりすることで、プリン体を減らす効果ができるので調理法を工夫する。
レバー、白子、いか、えび、かに、かつお、たちうお、肉や魚の干物、牛肉、豚肉など
積極的に食べたい食品
以下の食品を積極的にとることで尿酸値が下がり、尿がアルカリ化されて尿酸が結晶化しにくく、排泄されやすくなる。ブロッコリーやほうれんそうなどはプリン体が多いが、動物性食品とはプリン体の性質がことなるので食べても大丈夫。
チーズ、ヨーグルト、豆腐、油揚げ、わかめ、めかぶ、キャベツ、たまねぎ、さつまいもなど
水分は多めにとって、お酒はほどほどに
尿量を増やして尿酸の排泄量を増やすと、尿酸値が下がる。ふだんから500mL程度の水分摂取をこころがける。ただし心不全や腎不全がある場合は、水分の取り方について注意が必要なため、かかりつけ医に相談する
お酒は尿酸値を上げない程度に
含まれるプリン体の量が少ないアルコール飲料のほうが、尿酸値の上昇を抑えられる。ただし、アルコール自体が尿酸値をあげることを忘れずにいましょう。プリン体ゼロをうたったビールでも、飲みすぎは禁物。
1回10分間の「ニコニコ運動」をしよう
肥満解消、ストレス解消のためにも、積極的に体を動かすことを習慣にして、尿酸値をさげましょう。隣の人と「ニコニコ話しながらできる」くらいの、軽い有酸素運動がおすすめ。
筋トレなどの無酸素運動をすると、乳酸という、尿酸の生成を促して排泄を妨げる物質がつくられるため尿酸値が上がる。筋トレの習慣がある人は、尿酸値を上げないようにこまめな休憩と水分補給を忘れないこと。
サウナで尿酸値が上がるって本当ですか?
サウナで大量の汗をかくと、軽い脱水症状になり、尿酸値が上がる原因になります。また、熱いお風呂や長時間の長風呂も尿酸値をあげます。出た後はアルコール飲料でなく水やお茶をのみましょう。
どうしても甘いものが食べたくなります。
お菓子でなく果物にしましょう。果物に含まれるビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化物質には尿酸値を下げる効果があります。
ビールがやめられない。薬だけで治療はできますか?
可能ではありますが、根本的な解決にはなりません。休肝日を設けるなど、生活習慣の改善が健康長寿につながります。
数値が下がれば薬は止められますか?
一生飲み続けるものと考えましょう。薬で尿酸値を6.0mg/dL以下にコントロールすることを5年以上続けた人たちでも、薬を中断すると約40%の人が3年以内に痛風が再発したという報告があります。痛風は一生治療が基本です。
薬は中断もできないのでしょうか?
中断はできますが、それでも通院は必要です。尿酸値をコントロールできていれば、定期的に検査を受けながら中断することは可能です。ただし、尿酸値が9.0mg/dL以上になると痛風発作の危険があるため、ただちに薬を再開します。
強い痛みが出たらどうすればいいですか?
冷やして安静にしてください。マッサージなどで刺激するのは避けましょう。痛みが軽くなっても薬は必要なので受診してください。
「きょうの健康」より引用
ブログ作者の感想
60代の知り合いの人が痛風の痛みはつらいと嘆いていました。痛風が起こると痛くて歩くのがおっくうになり、そうすると運動不足になり、肥満傾向になって悪循環になるとのこと。プリン体ゼロをうたったビールなら大丈夫かと思っていたら、アルコール自体が尿酸値をあげるみたいで、飲み過ぎには気を付けようと思いました。あと痛風になったら薬を一生飲み続けなければいけないのは嫌ですね。やはり生活習慣を見直し、定期的に血液検査で数値を知ることが大切ですね。