松下幸生 医師 慶應義塾大学医学部卒業 専門はギャンブル、アルコール依存症など
ギャンブルに歯止めが利かない
ギャンブル依存症(ギャンブル障害)とは、ギャンブルに歯止めがかからなくなる病気のことです。パチンコやスロット、競馬、競輪、オートレースだけでなく、宝くじ、株式取引、FXなども、歯止めが利かなくなった場合にはギャンブル依存症とされます。ギャンブル依存症で受診する人は、20~30歳代が中心で、男性が圧倒的に多い傾向にあります。
「好き」と「依存症」は異なる
ギャンブルがしたくても我慢することができ、負けても深追いせずにやめられ、仕事や家庭生活も続けることができるなら、依存症ではありません。
ところが依存症になると、賭け始めると止められず、勝つまで賭けようとして、借金を繰り返すようになります。
原因は気持ちや性格ではなく脳の機能にある
依存症は本人の気持ちや性格の問題が原因ではありません。ギャンブル依存症は、ギャンブルを繰り返し行うことによって脳内の報酬系と呼ばれる回路に生じる機能の変化が原因です。
ギャンブル依存症と脳の活動変化
➀ギャンブルで興奮すると快楽物質のドパミンが大量に放出される。
➁それを何度も繰り返してると反応が鈍くなりドパミンが出なくなる
➂満足できなくなる
➃満足できないので、際限なくギャンブルを繰り返すようになる。
こうしてギャンブルに歯止めがかからなくなり、借金などの経済的な問題が起こる
受診と診断
ギャンブルの歯止めがかからないと感じられる場合は、医療機関を受診しましょう。診断にあたっては、うつ病や双極性障害など、ほかの病気の併発がないかも確認します。特にうつ病や双極性は、深刻なうつ病になると自殺に至る可能性もあるので、慎重に判断します。
対話を中心とした治療で回復を目指します。カウンセリングや認知行動療法など対話を中心とした地領のほか、重症化した場合は入院治療がおこなわれます。
自助グループの活用
GA(ギャンブラーズ・アノニマス 日本)→当事者による自助グループ
GAM-ANON(ギャマノン 日本)→ 当事者の家族による自助グループ
仲間と出会い、体験談を聞いたり、自身のありのままの気持ちを話すことで苦しみから解放されることが回復につながる。このような集団精神療法には2020年から健康保険が適用されています。
治療中は依存している特定のギャンブルだけでなく、ほかのギャンブルもやめることが必要です。例えば、「パチンコに依存しているからパチンコはやめて、競馬をする」というのでは治療はうまくいきません。ほかのギャンブルをすることで、同じような興奮が起こり、依存が再熱してしまう危険性が高いのです。
また、借金がある場合には、生活を立て直すためにも、弁護士や司法書士などの専門家に相談した方がよいでしょう。借金を整理することでギャンブル依存症から回復できたという人は多くいます。
家族はお金以外の面で支えていこう
家族の対応で大切なのは、借金の肩代わりをしないことです。本人主体でお金の問題に向き合うようにし、専門家に借金の整理を委ねることが重要です。
本人を責め過ぎないようにすること、問題解決に協力することも大切です。噓をついたり、日常生活を乱したりするのは、異常症の症状のひとつです。本人を責め過ぎると依存症の悪化につながることがあります。問題について話し合える関係をつくり、依存症を理解して対応を一緒に考えることが重要です。
「きょうの健康」から引用
ブログ作者の感想
2024年3月に発覚した大谷翔平の通訳、水原一平さんの違法ギャンブルには驚きましたね。彼だけでなくパチンコ店内、またその他のギャンブル場にもギャンブル依存症の人も多くいるかと思います。私も株式投資をしていますが、始めた頃は投資した銘柄が気になってストレスだった時もあります。今は2週間に1回だけチェックするなど自分なりの対策をして依存症にはなっていません。誰しもが、何かの依存症になる可能性があるかと思います。性格でなく病気なので医療機関を受診したほうがいいですね。