9月, 2024 - Computer programming and health

プラズマ乳酸菌は、キリンホールディングスが2010年に発見した特殊な乳酸菌で、正式名称は「ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシス・ラクティス JCM 5805株」です。この乳酸菌の最大の特徴は、「免疫の司令塔」と呼ばれるpDC（プラズマサイトイド樹状細胞）を直接活性化できる点にあります。

pDCは免疫システムにおいて重要な役割を果たしています。pDCが活性化されると、免疫細胞全体が活性化され、体の防御システムが機能します。プラズマ乳酸菌は、このpDCに直接働きかけることで、健康な人の免疫機能の維持をサポートします。

プラズマ乳酸菌の効果は、継続的な摂取によって現れます。研究によると、2週間以上の継続摂取でpDCの活性が高まることが確認されています。また、摂取を中止すると、pDCの活性は緩やかに低下していくことも分かっています。

一般的な乳酸菌との違い

一般的な乳酸菌は一部の免疫細胞のみを活性化しますが、プラズマ乳酸菌はpDCを活性化することで、免疫細胞全体を活性化し、体の防御システムを機能させます。これにより、健康な人の免疫機能の維持をより効果的にサポートします。

プラズマ乳酸菌の効果は多岐にわたり、以下のような効果が報告されています：

アンチエイジング効果：
非臨床試験において、プラズマ乳酸菌の摂取により老化スコアの上昇が抑制されることが確認されました。特に皮膚の構造の崩れを抑制する効果が観察されています。
スポーツ・トレーニングにおける効果：　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　激しい運動を継続する際の体調不良や疲労の自覚症状が軽減されることが分かっています。これは、アスリートやスポーツ愛好家にとって有益な効果と言えるでしょう。
労働パフォーマンスの改善：　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　プラズマ乳酸菌の摂取により、体調が良好に維持され、労働パフォーマンスの指標が改善したことが確認されています。これは、日々の仕事や学業に取り組む人々にとって有用な効果です。
肌バリア機能の向上：
プラズマ乳酸菌の摂取により、肌フローラ（肌に棲む細菌の集団）のバランスが維持され、肌バリア機能が増強されることが分かっています。具体的には、肌のバリア機能に重要な役割を果たすタイトジャンクション遺伝子の発現量が増加することが確認されています。
ワクチンアジュバント効果：
プラズマ乳酸菌には、ワクチンの効果を底上げする「アジュバント効果」があることも報告されています。これは、ワクチン接種の効果を高める可能性があることを示唆しています。

さらに、最近の研究では、プラズマ乳酸菌が新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の軽症患者に対して有益な効果をもたらす可能性が示唆されています。長崎大学のグループが行った研究では、プラズマ乳酸菌を大量に摂取することで、以下のような効果が観察されました：

ウイルス量の早期減少：
PCR検査の結果、プラズマ乳酸菌摂取群では4日目にウイルスの有意な減少が見られました。これは、非摂取群と比較して、ウイルス減少のスピードが速まることを示しています。
嗅覚・味覚障害の早期回復：
嗅覚や味覚の異常について、「症状がなくなった」と答えた人の割合が、発症7日目以降にプラズマ乳酸菌摂取群で非摂取群を上回り始め、9日目には10ポイント以上の開きが出ました。
pDCの維持：
採血検査の結果、非摂取群ではpDCの血中濃度が大幅に減少した一方、摂取群ではpDCが維持されていることが分かりました。

これらの結果は、プラズマ乳酸菌の摂取が新型コロナウイルスの早期減少、嗅覚や味覚障害からの早期回復につながっている可能性を示唆しています。ただし、この研究で使用されたプラズマ乳酸菌の量（4000億個）は、市販の製品に含まれる量とは異なるため、同様の効果を期待するには注意が必要です。

革新的プラズマ乳酸菌：35年の研究が生んだ次世代の免疫ケア

プラズマ乳酸菌の安全性と有効性は、多くの研究で確認されており、その成果は国内外の学術誌で発表されています。また、その革新性と価値は、技術経営・イノベーション大賞や全国発明表彰での受賞によっても認められています。

キリンは、35年にわたる免疫研究から生まれたこのプラズマ乳酸菌を、「iMUSE（イミューズ）」シリーズとして商品化しています。これらの製品は、サプリメントや飲料など様々な形態で提供されており、日々の健康維持や特別な機会（例：旅行、試験、スポーツ大会など）に向けた健康管理に役立つ素材として注目されています。

プラズマ乳酸菌は、その独特のメカニズムと多様な効果により、今後も健康・医療分野での応用が期待されています。特に、免疫機能の維持・向上を通じて、様々な健康課題に対するアプローチとして注目されており、今後さらなる研究や製品開発が進められることが予想されます。

ただし、プラズマ乳酸菌の効果を最大限に引き出すためには、適切な摂取量と継続的な摂取が重要です。また、個人の体質や健康状態によって効果の現れ方が異なる可能性もあるため、使用する際は自身の状態に合わせて適切に利用することが大切です。

最後に、プラズマ乳酸菌は健康維持のサポートとして有効ですが、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、総合的な健康管理の一部として位置づけることが重要です。プラズマ乳酸菌を含む製品を利用する際は、これらの基本的な健康習慣と組み合わせることで、より効果的な健康維持・増進が期待できるでしょう。